表現力と正確性

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朝晩少しひんやりしてきましたね。ちょっと寒いくらいです。きのうの晩は台風が近づいていることもあって、いつもは開けたままにしている窓を閉めて寝ました。そろそろ分厚い掛け布団の出番かな。

さて、<日刊koinezu>今日の特集は、『徹底解明!あなたの翻訳に足りないのは表現力だ!』

いきなり上から煽ってみましたが、コレ僕自身が最近よく感じることなんです。まだまだ文章が硬いな、つくづく表現力が足りないな、と。表現力と言うとすごく広くてあいまいなイメージなんですけど、特許翻訳に関して言うととつまりこうゆうことです。「出願人が伝えたい内容を、なにも足さずなにも引かずそのまま伝える能力」

翻訳者の仕事

「なにも足さない、なにも引かない。ありのまま、そのまま。この単純の複雑なこと。」有名なウイスキー『山崎』の宣伝コピーを引用しておきます。たしかにシンプルではあるが、それでいて奥が深い。特許翻訳にも同じことが言えます。文法がなっていなかったりあいまいな表現を多く使うような原文にあたると、さらにこの難易度が上がる。貴様の言っとることはわからん!おまえも置き換えてやろうか!(デーモン小暮閣下風)となるところをぐっとこらえて、山崎の気持ちで静かに耳をかたむける。

書いていないことを翻訳文として直接表現することはできない(してはいけない)。けれど、出願人が言いたいことを匂わせるようなぎりぎりの言い回しはできるはず。原文の限られた表現のなかから一番伝わりやすい方法を探りあてる。接続詞を工夫してみたり、品詞表現をアレンジしてみたり、文章を切ったりつなげたり、はたまた入れ替えてみたり。ときに、言葉を補ったり、あえて訳出しなかったり。読者が読んだときすんなり意味がしみわたるようにする。翻訳者の腕の見せ所であり、醍醐味であると思う。けれど、ここらへんは経験すればするほど、知識が増えれば増えるほど、今後考え方は変わっていくと思う。

*原文にない言葉を追加したりあえて訳出しない場合、必要に応じて簡潔な理由とその目的をコメントに残します。(なにも足さない。なにも引かない と一見矛盾するようでいて、内容を正確に伝えるという意味においては正しい)

 

表現力は正確性を担保するもの

特許翻訳をするうえで、日本語としての<表現力>と論理的な法律文書としての<正確性>の間にはさまれて苦しい思いをすることもあるでしょう。文章によってどちらをどのバランスで優先させるべきか、どこまで踏み込んでよいものか、悩みはつきません。

ですが最近思うのです。表現力と正確性は決して分けて考えるべき問題ではないと。つまり、一方を優先するともう片方の精度が落ちるといったたぐいのものではないように思います。どちらかというと、こんな感じ。原文が言いたいこと、つまり理路整然とした原文の正確性をそのまま読者に伝えるためには、それに相応しい<伝わる>表現力が必要だと。表現力と正確性は相反するものではなく、表現力のしっかりとした土台の上に正確性がのっかっているイメージでしょうか。のせるというよりはむしろ、ダイヤモンドリングの台座のようにグリップして固定している感じかもしれません。

*特許戦略としてあえて難解にまわりくどく表現する場合もあります。そのあたりを考えると、どこまで翻訳者が踏み込むべきか、それはそれで悩みます。

表現力の幅を広げる

ここ最近いろいろ忙しくはあるのですが、当ブログはできるだけ毎日更新しようとしています。正直どこまで続くか分かりませんがねー。

なぜブログを書くことにこだわっているのかというと、僕の仕事、つまり特許翻訳をするうえでの表現力UPに直接つながると考えているからです。自分の頭のなかにある考えを、ブログ読者の方にできるだけ正確に誤解なく伝えるために、いろいろと表現を工夫しています。僕の表現が的を得ず意図せず誤解を生じさせてしまうこともありますが、それもそれで次への改善点が見つかり勉強になります。

また、ブログ記事を投稿する前には、プレビュー画面で文章を読みながら、誤字脱字の訂正、表現の変更、文章の入れ替え、文章の追加などを行っていきます。さながら翻訳の見直し作業を毎日やっているようなものですね。細かい作業が異常に好き、ときどき自分でもあきれます。。

ブログで自由作文をすること。仕事で特許翻訳をすること。この2つは、<表現力>と<正確性>の関係と同じく切っても切り離せない関係なのかな?三日坊主にならないように頑張って更新し続けていく所存です。読者諸賢には是非ともあたたかく見守っていただければと思います。

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